運動成果を上げる体操法

 

 

東 史(アズマ フミ)が考える体操法とは

 

1、代償動作(運動)を卒業する、体を正しく整えるトレーニング  

2、短時間で効果的なストレッチと筋トレ 

3、代償で身体を歪めない段階に合わせた運動 

4、日常的に持続可能なトレーニング

5、介助者のサポートでも成立し、なおかつ楽にサポートできるトレーニング 

~筋力低下が進んだ(介助が必要な)人と介助する方に~
本人任せでは、使いたくない筋肉は使わないままになってしまいます。
仰向けや座った姿勢でも、サポートで筋肉を育てることができます。諦めていた歩行の可能性や受け入れていた医療的ケアの必要性は当たり前ではなく、別の選択肢があることを知ってください。

 

~筋力の低下を感じている人に~
人間は本能的に弱い部分をかばって使います。
紹介している体操は、全て運動の軸をつくって、運動効果の得やすい体をつくるための体操です。
筋力の低下をそのまま進行させてしまわないために、ぜひ参考にしてください。


効果的なストレッチと筋トレにために

介助で行うストレッチ・筋トレのポイント

支点・力点・作用点のテコの原理を意識しましょう

筋力の弱い人や低下している人ほど、支点を作ることで筋トレを可能にして筋肉を増やせる

効果的なトレーニングはテコの原理で行われます。このトレーニングの時に当たり前の支点を作ることが、筋力のない人は自分では難しくなります。動きにメリハリが作りづらくせっかくの刺激を筋肉に伝えることが出来ません。
しかし、介助者のサポートで支点を作ってあげることで筋肉への刺激は効果的に伝わります。


手を当てて支点を作る意味

〇グラついて支点が安定しないと、筋肉の刺激が効果的に行われません。痛くない程度にグラつきを抑えるサポートをします。

〇痩せている筋肉を痛めないために、手を当てることで保護をします。

 

支点を作ることで筋肉への刺激が効果的に届いて、3回~5回繰り返すだけで十分な筋トレになります。


 

座れない、立てなくても出来る肩関節・股関節の運動

 

肩関節・股関節を固めてしまわなように可動域を維持しましょう

 

腕と脚の上げ下ろし

おすすめポイント1

「腕を動かす」⇔「脚を動かす」のを交互に繰り返すことで、全身の血流が改善します。筋肉に必要な酸素や栄養を体中に運べるようになります。

おすすめポイント2

肩関節と股関節が柔軟になることで、日常生活で服の脱ぎ着が楽になります。自身で着替えられる場合も、介助者がサポートする場合も着脱が楽にスムーズにできるようになります。

おすすめポイント3

肩関節と股関節の可動域が大きく保たれることで、腕と脚だけでなく体幹の筋肉が刺激しやすくなります。

おすすめポイント4

肩関節が柔軟に動かせることで、気管や食道付近の筋肉を刺激しやすく衰えを防止できます。誤嚥予防につながります。

高齢者や障害者も、肩関節と股関節をストレッチして可動域を維持する運動で全身の血流改善になる

1⃣、片脚ずつでも構わないので、出来る範囲の可動域で2回から3回上げ下げを繰り返します。
片脚ずつの時は左右順番に2回から3回上げ下げを2セット繰り返します。
可動域のいっぱいで3~4秒止めて繰り返します。(可動域は5日程続けることで、徐々に改善して広がっていきます)

 

2⃣、脚と同じく、両腕または片腕ずつでできる限りの可動域で3~4秒止めて、2回から3回上げ下げします。

 

※脚(2~3回)→腕(2~3回)→脚(2~3回)→腕(2~3回)を交互に繰り返します。

 


 

硬くなった背骨を改善

 

体重の負荷を減らして、硬くなった背骨をしなやかに

 

机を使った背骨と胴回りのストレッチ・筋トレ

おすすめポイント1

背骨にかかる体重を減らすことでマッサージが可能になり、背骨と胴回りが解れ血流も改善します。

おすすめポイント2

背骨と胸筋、腹筋と脇腹も伸ばされて働きます。肺が広がり、胃腸の動きも改善します。

おすすめポイント3

背骨や胴回りを柔軟にして、日常生活の動きになめらかさがでます。

 

 

シュロス法が難しい肢体不自由児の背骨や胴回りを筋膜リリース、ストレッチ、筋トレして体幹の筋力強化ができる

 

1⃣、肘を真横(90度)に広げて机にのせて座ります。
筋力低下の状態によって1分から始めて、毎日続けて5分座れるようになるのを目指します。

 

2⃣、5分座れると、背中からマッサージをして硬くなった背骨を解していきます。
背骨にかかった重みを取るように、下から上に押し上げていくのと、押し上げながら上から下へとマッサージを繰り返します。
疲れたら十分効果があるので、無理に長く座る必要はありません。15分程度苦痛なく座れるようになるのが理想です。

 

~背骨が歪んで縮んでいる人は~
15分程苦痛なく座れるようになったら、机の高さを少しずつ上げて再び短い時間から慣らしていきます。
※側弯症(そくわんしょう)の回旋(かいせん)ねじれを改善するのにも有効です。

 

 

 

立ち上がる座るをスムーズにする運動

 

脚関節の可動域と筋力アップ~関節を痛めずレベルアップ~

 

段階的に進める椅子スクワット

おすすめポイント1

脚関節の柔軟性と筋力を維持することで、歩くときの振動と衝撃を緩和します。

おすすめポイント2

脚関節の柔軟性と筋力を維持することで、日常生活の大まかな動きを可能にします。

おすすめポイント3

日常生活で立ったり座ったりがスムーズになることで、介助者の腰への負担を軽減できます。

フレイル、サルコペニア、ロコモティブシンドロームにもおすすめの脚関節の筋力強化で足腰の安定が可能

 

1⃣、※後ろに転倒しないよう背中に壁があるところで行いましょう。
本人のできる角度設定で、半分立っている状態からでも効果はあります。
介助者は膝に手を当てて矢印の方向に軽く圧をかけ、力の方向性を床方向に促します。膝がぶれないように軽く固定してサポートします。
1日3回を、5週間から10日ほど続けます。

※筋力低下の著しい時は、脚の使い方のカタチを理想的にするため介助者二人で行うのが望ましいです。
※本人の力で踏ん張れない時は、抱きかかえて半分体重を助けている状態で行っても効果はあります。
 1週間ほどで、脚に力が少し入るように変わってきます。繰り返すことで体重のサポートを減らしていきます。

2⃣、脚の力の伝わり方が良くなったのを感じたら、5回行うようにします。
余裕がでたら〈段階1〉→〈段階3〉へと座面を下げて関節のつくる角度を深くしていきます 。
段階はこの3つにこだわらず、必要があれば細かく刻んでください。

※立ち上がる力を十分つけることで、座るときに脚を緩めるのも不安がなくゆっくり行えるようになっていきます。

 

 

 

脚関節と太ももを筋力アップ

 

体重を片足にのせ体重移動できる脚力づくり~関節を痛めずレベルアップ~

 

段階的に進める踏み台昇降

おすすめポイント1

足首・膝・股関節と太腿の筋力アップになります。

おすすめポイント2

昇って降りて前後に動くことで、前後の筋肉バランスが良くなります。

おすすめポイント3

片足で体重を支える脚力がつくことで、小回りできる動きに近付けます。

 

高齢者や障害者でも、負荷調節して踏み台昇降することで、股関節、膝、足首の脚関節を強化できる

 

 

 

1⃣、台に上半身の体重を預けるようにして、脚にかかる負荷を減らして脚関節を強化していきます。
1、片足にしっかりと体重をのせるのを意識して踏み込むようにします。
足首や膝が柔軟に対応して体重を受け止められるよう背後から理想的な体重移動をサポートします。

2、足を後ろに下す時は、勢いが付いて膝を痛めないようスピードを抑えるよう片手で腰をサポートします。
背が高い方や体重のある方の介助は、背後から肩をあてて支え、サポートしながら一緒に膝を緩めていきます。
もう一方の手で先に下ろす足の膝の横に手の平を沿わせサポートします。

 

2⃣、壁に手をついて、全体重を片足で支えられるようにしていきます。
1、片足にしっかりと体重をのせるのを意識して踏み込むようにします。
足首や膝が柔軟に対応して体重を受け止められるよう背後から理想的な体重移動をサポートします。

2、足を後ろに下す時は、勢いが付いて膝を痛めないようスピードを抑えるよう片手で腰をサポートします。
背が高い方や体重のある方の介助は、背後から肩をあてて支え、サポートしながら一緒に膝を緩めていきます。
もう一方の手で先に下ろす足の膝の手の平を沿わせ足と付く時の衝撃から膝を守るようサポートします。

※踏み台の高さ10cm→20cmへ。必要に合わせ3~5cmからでも効果はあります。

※左右で2回ずつ程度から10回ずつできれば次の段階に負荷を上げていきましょう。

 

 

 

体幹の横方向の筋力(胸筋・背筋)を維持

 

肋骨のカタチを維持する胸筋・背筋を鍛える

 

胸筋・背筋の筋力低下で起こる問題

筋力低下が進む事で胸筋背筋が痩せ、肋骨がつくる呼吸器官や消化器官のスペースが狭くなる

知って欲しいデメリット1

心臓・肺の横方向の圧迫が考えられます。

知って欲しいデメリット2

肩甲骨が固定され、腕が動かず着替え等が不便になります。

知って欲しいデメリット3

体幹の筋肉刺激が行いにくくなり、血流の改善が難しくなります。

知って欲しいデメリット4

気管や食道周辺の筋力も痩せ、嚥下力の低下や誤嚥の可能性も高まります。

知って欲しいデメリット5

腕の皮膚が指先まで後ろに引っ張られて、肘や手首の関節の可動域が減少します。

 


 

変形した肋骨を緩める背筋ストレッチ

おすすめポイント1

自重を活かして簡単に短時間でストレッチできます。

おすすめポイント2

固まっていた背筋を柔軟に、肩甲骨を緩めて筋トレしやすくなります。

おすすめポイント3

肋骨が広がって、心臓・肺のスペースが広がり背中の血流が改善します。

 

肋骨を広げる背筋のストレッチで、肩甲骨の動きを改善させ気管の働きを改善する

 

背筋のストレッチを行う時は、頭が下がらないように枕を用意して行ってください。
  頭が下がっていると、頭に血が上って気分が悪くなります。

 

血圧などの持病をお持ちの方は医師に相談して行ってください。

 

1⃣、ストレッチポールを縦方向に2本背中一番出ているところの少し内側(背骨寄り)に当たるように上に寝転びます。

 

2⃣、そのまま30秒~1分じっとして肋骨が自然に押し広げられるのを待ちます。余裕がでれば、少し横に背中を揺らします。

 

 

健康のための胸筋・背筋の筋トレ

おすすめポイント1

心臓・肺のスペースの保護ができます。

おすすめポイント2

肩の位置を保持出来て、這い這いなどの手をついて床を押し返す力が安定します。。

おすすめポイント3

肋骨の変形で起こるデメリットの解消につながり、医療的ケアの必要性を減らすことができます。

 


高齢者、肢体不自由児の胸筋と背筋の筋力アップで、嚥下力を改善し医療的ケアの必要性を減らす

 

1⃣⃣、肘をできるだけ真横に広げて、肩より後ろに引く

2⃣、肘を真横に広げたまま、自分の体を抱きしめるように肩甲骨の間を広げます。

 

※1⃣と2⃣⃣を3回~5回程度繰り返します。

 

仰向けに寝た姿勢では、肘が床にあたるとこまで広げるだけでも効果があります。

 



筋肉が育つまで続けましょう!

柔軟性が出ても、筋肉を付けないと保持できません。筋肉を付けるまで続けましょう。

筋肉が付いてからも、維持するためには一定の運動を心掛けましょう。

1日15分程でいいので、有酸素運動と別に使えていない筋肉を意識して動かすことをおすすめします。

身体を歪めない、身体のバランスを整える体操法を、ぜひ試してみてください。